大阪高等裁判所 昭和57年(行コ)35号 判決 1982年11月30日
大阪市天王寺区松ケ鼻町四番一一号
控訴人
石橋シゲノ
同所同番同号
控訴人
石橋栄二
西宮市老松町一四番一五―七〇三号
控訴人
石橋康利
大阪市城東区鴫野西三丁目六番A―四一八号
控訴人
石橋正孝
右四名訴訟代理人弁護士
中坊公平
同
谷澤忠彦
同
豊島時夫
同
島田和俊
同
岡田勇
大阪市天王寺区堂ケ芝一九四
被控訴人
天王寺税務署長
奥野辰三
右指定代理人
田中治
同
中野英生
同
松井二郎
同
田中邦雄
主文
一 本件控訴を棄却する。
二 控訴費用は控訴人らの負担とする。
事実
第一当事者の求めた裁判
一 控訴人ら
1 原判決を取り消す。
2 本件を大阪地方裁判所へ差し戻す。
二 被控訴人
主文と同旨
第二 当事者双方の主張及び証拠関係は、次に付加するほか原判決事実摘示と同一であるから、これを引用する。
一 控訴人らの主張
控訴人らは、昭和五二、五三年分の確定申告ないし準確定申告において、純損失の繰越控除を行ってはいないが、同控除に関する所得税法七〇条は、強行規定であるから右控除の欠落は、課税庁において当然これを是正すべきものであって、この是正措置を欠いた右確定申告ないし準確定申告は当然無効であり、その申告に基づく租税債務は不存在である(この点について控訴人らは大阪地方裁判所昭和五六年(行ウ)第九七号、第九八号事件で係争中である)。
控訴人らは、本件において申告税額を下回る税額を主張している訳ではないから、本件につき訴えの利益は認められるべきである。
二 証拠関係
1 控訴人ら
甲第三ないし第五号証を提出。
2 被控訴人
右甲号各証の成立は認める。
理由
一 当裁判所も控訴人らの本件訴えを却下すべきものと判断するが、その理由は次に付加するほか原判決理由説示と同一であるから、これを引用する。
控訴人らは、昭和五二、五三年分の確定申告ないし準確定申告は当然無効であり租税債務は不存在であるところ、本件において申告税額を下回る税額を主張しているのではないから、訴えの利益を認めるべきである旨を主張するが、純損失の繰越控除を行っていないからといって、それ故に確定申告ないし準確定申告が当然無効となるいわれはなく、租税債務の不存在を来すものとはいえないから、右主張は採用できない。
二 以上の次第で、本件訴えを却下した原判決は正当であり、控訴人らの本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、民事訴訟法三八四条、九五条、八九条、九三条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 小林定人 裁判官 惣脇春雄 裁判官 山本博文)